試合

 暫定7位につけている仙台は、最下位の草津に対し、
勝点はもとより得失点差獲得にもこだわりたい一戦。
草津の攻撃はわかりやすいほどにサイド攻撃命。
ヴェルディや神戸でやっていた山口がセントラルMF
気味の位置から両翼めがけていい球を出してくる。
守備はセーフティーファーストの共有意識徹底ぶりが
うかがえる。絶対に無理しない、危険をおかさない。
それで序盤の主導権を握り、いい入り方をしてるなと
思わせた、けれどそれも20分までだった。
仙台の右SB森川が内に絞り、左SB磯崎が前に行くよ
という雰囲気をうかがわせている。なので草津
左サイドは攻撃時に大きく開く。これはサイド攻撃が
生命線であるいじょう仕方ない。でも良くないのは
開いた左の守備のアバウトぶり。そこに空間を見つけた
仙台MF陣は、4-1-3-2の3MF(シルビーニョ、梁、熊谷)
それとFW大柴が代わる代わる右サイド深くへ切り込み
あっさりと主導権を握り返してみせる。
 さすがに草津も修正を加えてくるが、こんどは
実に良いバランス・タイミングで左を揺さぶる。
後手に回った草津DFからファウルを誘い出すと、
前半29分、シルビーニョプレースキックから
渡辺広大渾身のヘディングが吸い込まれ先制。渡辺は
嬉しいプロ初ゴール。
 先制されたことで草津も攻め返す意図は見せるものの
逆に仙台は味をしめた左からの展開で敵の意図をそぐ。
ここいらを仕切ってたのは熊谷、良い選手ですよね、
鹿島としては世代的バランスから放出したんでしょうが
仙台にしてみりゃあこんな良い買い物は無い。
 そんな感じで仙台は追加点こそ奪えないが危なげなく
前半を1点差で折り返す。
 後半ホイッスルから7,8分は落ち着かない。しかし
攻めの糸口をつかむものの草津はそこからがアバウト。
FWはサラサラ流れてる感じで、少しもおっかない感じが無い。
 で、結局そこでまたアバウトなショートパスを遂に
仙台が絡め取る。後半10分、梁が突貫し萬代へ、萬代が
シルビーニョへワントラップ→シュートまでのタイミングを
十分に与えるラストパス。シュートはDFに当たり、1点目同様
草津GK小島には防ぎようのない得点が仙台に入る。
 望み薄くも草津は攻撃のカードを切り食い下がるも
肝心のボールが前に行かず攻撃がみるみる鈍化。前半から
ずっと、攻めのときは左が大きく開くのだが、そこを
使うまでのプロセスがアバウト。森川が慌てるシーンは
結局試合終了まで見当たらなかった。
 余裕のできた仙台は萬代→バロンで大柴-バロン線を
組み、攻撃を省力化。その分きっちり人に人をつけて守る。
危なげないな、と思っていたら、草津のサイド攻撃を
あざ笑うかのように右を完璧に破りクロス、梁の折り返しを
受けたバロンが叩き込み3点目(後半28分)。草津の戦意は
ここで喪失。
 勝負を決めると関口・村上をピッチに送り出し都並氏の
仕事はここで終わり。すっかり仙台の陣場と化した右サイドを
2度3度と切り裂き、最後はまた右からのリスタート崩れを
落ち着いてゴール真正面で待つバロンまで届け、バロンも
落ち着いてこれを決め4点目(後半44分)。3点目以降はメイン
スタンド南側までもアゲアゲにしてみせた、仙台の完勝劇(4-0終了)。