ACミラン2-1リバプール

2年前と同じ顔合わせ。
ドラマチックに過ぎた往時の戦いとは全く違う
趣を漂わせた、熱く力強い勝負の世界を見た。
   
勝負を分けたのはインザーギの執念だったが、
後半あの一瞬を除いて集中を維持し続けた
リバプールの守備陣も褒め称えたい。ただ、
カカーやインザーギを90分相手にミスを全く
なく守り続けることが難しいだけだったのだ。
マスケラーノとキャラガーあたりの奮闘ぶりを
責める余地は少ない。
  
相変わらず中距離からリーセ、ジェラード、
X・アロンソらが豪快に狙ってくるリバプール
攻撃は迫力あり見ごたえに値した。カイトも
前線で体をはり、終盤には食い下がる一点を
叩き込んでみせた。ただ、要所をきっちりと
ネスタやオッドあたりが抑え込んでいた。
マルディーニは正直いま一つの出来ながら、
その存在感で仕事を補っていたというべきか。
  
惜しかったのはペナントが躍動したリバプール
右サイド。主導権を握っていたにもかかわらず、
ここに厚みを持たせることがかなわなかった。
フィナンが時々顔を見せたが、精度に足らず
押し込むところまで行けなかった。アルベロア
投入が早目だったら違っていたかも知れない。
  
ボールの転がり方、転がし方一つで意図が伝わる、
ピルロセードルフが居るから成り立つ戦い方。
しかし彼らがトップフォームをいつまでも維持
できるわけではない。このチャンピオンを喜ぶ
一方で、新たな手立てが必要なのはACミラン
さし当たって来シーズンのセリエA、それと年末の
世界クラブ選手権に向けてどんなデバイス
施してくるのだろう。
  
リバプールは2年前から確実にスペクタクルな
チームに成長した。あと1つか2つの味付けで、
プレミアを制することができそうだ。伸びしろ
十分な戦力を擁しているだけに、更なる成熟が
期待できる。また近い内にヨーロッパの覇者を
うかがう機会が訪れるのではなかろうか。