奇跡か、それともまるで別の物か

前の会社の上司(正確には上司の上司)に
ばったり会った。名取の極楽湯で。
  
俺が退職してほどなく辞めたと聞いてたから、
てっきり地元の関西に帰ったものとばかり
思ってた分、声かけられた時の驚きが大きかった。
  
どうやら仙台の某社にて、前と同じ仕事をして
いるらしい。それどころか前の会社の人脈を
引っ張ってきているらしい。「お前も来るか?」
とか誘われてしまった。この人の場合は冗談かと
思ったらそうでない場合があるので、お茶を濁し
ながらそそくさと風呂をあがることにした。
「***に居るから、今度来いや」と念を押され
ながら。
  
仙台は狭いし、かれこれもう12年生活している
ことを思えば、奇跡的というほどではないのかも
しれないけど。やはり驚かないわけないし、
それ以上に、思っていた以上に気楽に言葉を
交わせるようになっていたことが感慨深い。
自分の表情は自分じゃ分からないけれど、
対峙した彼の表情はとても柔和で、もしも今
職で悩んでいたとしたら、「もっぺん一緒に
やろか?」という申し出に、とても気軽に
乗っていただろう。何度も言ってるように
やってる仕事じたいは好きだったわけだし。
  
過去にした筈のものが過去でなくなる。
人生は分からなくて面白い。