楽天4−5西武

6回表、ランナーが出しながらもカブレラ
しのぎきった一場。ここで山村か小倉に
スイッチすれば今シーズン45勝目を手にする
ことはできたのだと思う。一場は6回1失点で
まずまずの評を得て、福盛が最終回をしめて
来シーズンへの地固めにできたかもしれない。
  
しかし現実は違った。
 
7回表のマウンドに立った一場は粘り強い
西武の下位に走者を一人ずつ、塁を一つずつ
許し、遂にリードを使い果たした。ここで
小倉が登場、中島を力強く抑えこみこの回を
終える。一場のリザルトは「6回1失点」では
なく、「6回2/3、3失点」になった。
 
この1イニングを託した野村監督の心意気に応える
ことができない、いまの彼の実力をみずから
思い知り、降りるマウンドで怒りをあらわに
していた一場。その根性は認めるから、次は
抑えてみせてくれ。
   
代わった小倉は次の回、先頭のカブレラと対峙し
外野席から見ていてもしびれるような勝負を
やってのける。散々粘った最後に出たのはなんと
内野安打、結果的にはこの走者が勝負を決した。
もちろんこのあと2ランを放った石井義は褒めて
しかるべきなのだが、小倉にも楽天にもいささか
不運な結果だったと言える。
  
打線は涌井の危険球退場というトラブルを確実に
点に結びつけた。緊急リリーフの許がどうにも
ならなかったことを差し引いても、三塁ベース際を
打ち抜いた高須は、今日の両チーム中、最も価値の
ある打者に映った。
    
1点差に迫った8回裏、1アウト三塁でマウンドは
石井貴、7番藤井に代打は憲司、西武は星野を送り
こみ、楽天は代打の代打…カツノリ。コールされた
瞬間、フルスタ中から悲鳴やらブーイングやら
飛び交う。気持ちは分かるがあまりにも悲しい。
ちなみに結果はファーストへのファウルフライ。
カツノリという選手のキャリアには「閉塞感」と
いう言葉がどうしても離れない、ブーイングは
あんまりだと思うが、結果がこれではやむなしだ。
  
9回裏は1番の牧田からの打順で一人出れば4番の
フェルナンデスに回せる。当然ながら塁に出る
バッティングを志向した牧田・高須・鉄平を
寄せ付けずクローズしてみせた小野寺、これは
年俸に結びついてしかるべきピッチングだった。
逆にここで一人も出せなかった楽天、点差は
1ながら西武との間にある大きな力の差を感じて
しまう最終回だった。
  
とはいえ見どころがある良い試合をしていたと
いえる。また見たくなる試合をしていれば、
この時期に集まった19000余の観衆はきっとまた
ちゃんと、ここにやってくる。次こそ勝つと
めいめいに思いをめぐらせながら。