物事を

どう思うか、それは自由だ。
 
「だけど此処は社会だから。思うこととか
もろもろ有るのは別に良いけれど、それを
踏まえて自分がどう振舞うのか決めるのは
必ず自分自身なんだ。俺は何をどうしろなんて
言うつもりはないよ。それを考えることを
やってみることさ。」
 
俺が一年ぐらい前に、元職場の高卒新人に
言い放った台詞です。5年3ヶ月の最後、
たった3ヶ月だけで離れゆく間柄とはいえ、
なにかタメになることを言いたかったん
ですよねー。処世術じみた言葉が多い彼の
これからを案じる割には、ちょっと皮肉
めいて聞こえるのは、俺がそんな要領の良い
人間じゃあなかったからだろう。
 
彼はいま結構しんどい思いをしているらしい。
人づてに聞こえてくるのは悪戦苦闘の
近況ばかり。俺のやり方を丸3年見てきた
バイト達からは反発食らってるらしいし、
欠員補充のための先輩社員は病気でやむなく
退職したという。仕事の中身が分かってる
俺だからこそ、できれば今行って声掛けて
やりたいところだが、今更どのツラ下げて
行けるものかなと(笑)。
 
けれど、そうやって励ます声も無いならば、
どれほどに辛いものか、それを知ることも
シビアだけど必要かも知れない。それでも
なお彼が処世術じみた言葉で居るならば、
まだ当分、ともすれば金輪際、俺の出る幕は
無いだろう。
 
要領の良いことより大事なものがある。多分
自分がいま、そう思いたいから、こんなこと
急に思い出すんだよな。